太極拳と共に 第1回 「先輩からの誘い」

第1回 「先輩からの誘い」


あれは、2006年4月末ごろのことでした。
同じ学科に所属する先輩であり、同じ寮で一緒に生活を共にしていた方が所属する学科のコンパにて、「太極拳サークルをいっしょにやらない?」という声がかかりました。
彼女自身も、太極拳サークルの部員の一人でありました。
私は、それ以前に「太極拳」という単語が出てくると、柔道などのいわゆる武道に近いという話を聞いたことがあり、格闘系のサークルなのではと思っており、あまり入る気にはなれませんでした。
その背景に、過去「武道」という点では柔道をやったことがあるものの、とあることが理由で大嫌いになってしまったという苦い経験をしたことがありました。
そのため、サークルに入ってやることにかなり消極的になっていました。
しかし、折角誘ってくださったのですから、とりあえず見るだけみようと思って、いつもサークルで使っている体育館へ足を運びました。
しかし、実際に見てみると、いい意味で今までもっていたイメージがほぼすべて崩れ去ったのでした。
確かに、現実に格闘系の太極拳は存在しますが、本学で取り組んでいたのは、その部類ではなく、いわば体の体操に近いようなものでした。
それをみたり、実際に体験した瞬間、直感で「これなら長続きできるかもしれない」と感じたのです。
これまで、いくつか体育系のサークルを経験こそしましたが、ここまで「長続きできそう」とぴんときたことはありませんでした。その上、体を動かしたりすることは基本的に好きではあるものの、運動そのものはあまり得意ではなかったため、すぐに止めたくなったりしないかというちょっとした不安にもさいなまれました。
しかし、こうした不安も実際に体を動かしたときにほぼ消えていました。それは、一つ一つの動作が基本的にゆっくりであり、そうしてゆっくり体の筋肉を伸ばすことで血行をよくする効果があるとわかったためです。
こうして、はれて私も太極拳サークル部員としての1歩を踏み出したのです。
実はこのサークル、大学の中では最も古くから存在するサークルと言われており、およそ20年あまり廃部になることなく続いてきたのです。
しかし、動作がゆっくりである反面、一つ一つの動作がなかなか難しいため、一度興味を持って大勢の人が見学しに着ても、すぐに止めてしまうという人も例外ではありません。例を挙げると、一度に5人くらいが入ってきても、1,2週間後には一人か二人ほどしか残らなくなってしまうのです。そのため、部員の確保そのものが難しいという現状を度々抱えてしまいます。
現に、私自身も太極拳をやっていくことに疑問を感じた時機があります。そこで、次回から実際の活動や取り組んだ練習などについて、あれこれと振り返っていこうと思います。



このエッセイの目次へ戻る
エッセイのトップへ戻る
トップページへ戻る

inserted by FC2 system