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第4章 挑戦前からの心構え


 前項までに記してきたこともほぼ心構えに近い部分があると言われれば底までだが、ここでは、「闇を渡る道化師」を作るにあたって、本選手権に挑戦するか否かにかかわらず、この曲を作っていくうえで気をつけたり、狙っていた心構えについて書いてみることにする。
大きく分けて二つあるが、まずは、自らと曲との対話を何度となく繰り返すことであった。
これは、他の楽曲を作る上でも、特に思い切り愛情をかけたい曲に対しては、日ごろから意識して行ってきたことであったが、消化不良という事態を最小限に抑えるために、今回はいつにも増して気を配っていた。
ましてや、これまで私自身非常に苦手な曲調であるヘビーな楽曲だったこともあり、最悪の場合、途中でさじを投げる危険性もはらんでいたのである。
これについて少し補足をすると、これまで重たい楽曲は数は少ないものの何曲か作ってきた。
しかし、どれもこれもと言っていいほどに短命に終わったり、完成度があんまりな曲ばかりができ、ものによっては途中でさじを投げた曲も少なくなかった現状を抱えていた。
先日、興味本位でざっとさじを投げたヘビーな楽曲を計算したところ、この3年余りで軽く10局は超えていたことがわかった(一部グレーゾーンな感じのものもあったが)。
元の作る曲数が決して多いわけじゃない、むしろ少ない方に値するので、この数は比較的多いと考えられる。
こうした実態があったため、最初のうちは、この曲もおそらく50%程度の確率でさじを投げる恐れがあることも想定していたが、作るうちに、「これはいけそうだ」という感触をつかむようになっており、自然とさじを投げる危険性が低くなり、それとは逆に絶対にやり遂げてやろうと気持ちが奮い立つようになったのである。
もうひとつの心構えとして、「会いたい気持ち」を超える楽曲を理療科卒業までに完成させたいというちょっとした目標というか、野望のようなものが頭にあった。
これは、「闇を渡る道化師」だけに言えることではない、むしろ「会いたい気持ち」以降のすべての楽曲に対して言えることだった。
あの「会いたい気持ち」が知る人ぞ知る完成度だっただけに、それを何とかして学生生活を終えるまでに超えて見せたいと、ある時期を境に想うようになり始めた。
それがあのまま、選手権に向けた心構えのようなものにすらなっていった格好だったのだ。



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